尖閣諸島、竹島めぐる領土問題

冷静な外交力で解決を

市田書記局長が記者会見

                               8月21日付しんぶん「赤旗」に掲載

日本共産党の市田忠義書記局長は20日、国会内で記者会見し、尖閣諸島、竹島をめぐる領土問題について「日中、日韓両国の緊張を激化させたり、関係を悪化させるような行動や言動は、いずれの政府も慎まないと、問題の解決にならない。歴史的な事実と国際的な道理にもとづいて、冷静な外交的努力で解決することが大事だ」と強調しました。

 尖閣諸島について、市田氏は、日本共産党が2010年に発表した見解で、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当であることを明らかにしていることをあげ、「問題は、歴代の政権が1972年の日中国交回復以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を中国側にも国際社会にも主張してこなかったことだ」と指摘。1978年の日中平和条約締結時に、中国の鄧小平(とうしょうへい)副首相の“棚上げ論”に事実上同意して領有権を主張しなかったことや、1992年に中国が国内法に自国領と明記した際にも、口頭の抗議ですませたことなどをあげました。

 そのうえで市田氏は、尖閣諸島沖で中国漁船の衝突事件が起こったとき、日本共産党の志位和夫委員長の国会質問に、菅直人前首相は「正しい理解が得られるよう努力する」と述べていたにもかかわらず、その後も30回以上、日中間の会談などが行われたが、突っ込んだやりとりも国際社会に対する主張も行われた形跡が見られないと述べ、「今こそ日本政府は領有権の正当性について冷静に理を尽くして堂々と説く外交努力が必要だ」と述べました。

 また、竹島について市田氏は、日本共産党が1977年に見解を発表し、日本が領有権を主張することは歴史的根拠があることを明らかにしていることに言及。同時に日本への編入が行われた1905年は、日本が韓国を武力で植民地化していく過程であり、韓国の外交権が奪われていたことも考慮する必要があるとして、「大事なことは冷静に話し合う外交的土台をつくることだ。そのためには侵略戦争と植民地支配に対する真摯(しんし)な反省と謝罪が必要だ」と述べました。

 市田氏は「そうした土台の上で竹島をめぐる歴史的事実とその認識を両国の国民が共有できるための共同作業を行って納得できる方向での問題解決をはかるべきだ」と述べました。